Time passed me by

仕事が終わり家に戻ってきても、テレビを見る代わりに、最近ずっと昔の曲を聴いている。新しいiPodを手に入れたのが要因だけれど。音楽は時を戻す魔法のようなもの。リアルタイムで聞いていた懐かしい時の風景が一瞬で宿る。同じ曲をもう何度聞いたのだろう。シンセサイザーが奏でる音色は未来的だった。自分は決して懐古主義ではなく、最先端のモノに興味があって。ギターの音よりシンセサイザーの音が好きだった。タイムマシンがあったら、過去と未来どちらに行きたいか?と聞かれたら、即答で未来を見てみたい。そう思ってる。

70年代中盤、昭和生まれ自分は未だに「21世紀」という単語に未だ先の未来をイメージしてしまう。それに90年代世紀末の疾走感。子供の頃からクルマが好きで早く運転したいと思っていた。いつかクルマが空を飛び回り、チューブの中を超高速で電車が往来し近代的なビルが建ち並ぶ、そんなイラストに未来を見ていた。モーターショーで見るコンセプトカーにワクワクしてて。バブル時代の開放感、トレンディードラマ。自分が中学高校くらいだった時の大人の世界はすごく輝いて見えていた。

打って変わって現在の日本は。閉塞感、まるで霧に包まれたかのような先の見えない感覚。将来が今より良くなるという希望が薄れ。なんとなく諦め、挫折感が漂う...

確かに今の生活は、子供の頃から比べたら未来そのもの。携帯やスマートフォンにビデオ通話。そして何よりインターネットで繋がる世界。こんなに簡単に膨大な情報にアクセスできる時代は人類史上初めてだろう。それなのに、なぜこんなにギスギスした世界なのか。

カセットテープで聞いていた微妙にピッチの安定しなかった頃の音楽、CDがまだ黎明期だった時に聞いた超クリアな音。多感な高校生くらいまでに聞いた音楽を未だに飽きずに聞いている。同じ曲をもう何度聞いたのだろう。あの時、たくさん音楽を聞いていて良かったと思う。タイムマシンはまだ現実ではないけれど、音楽は自分をタイムトラベルさせてくれる。音楽は記憶を呼び戻す。時代を映す鏡。

こんな事を思うのは歳をとったということかな(笑)。子供の頃、このロサンゼルスオリンピックJetPackで飛ぶ人間には強烈な未来を感じたよ。