サクラサク。

日本人にとっては馴染み深い花である桜が東京では一斉に開花した。ほんの少し前まで、そんな素振りはなかったのに。まるで周囲の桜同士が示し合わせたように花を咲かせる様は神秘的ですらある。

花を咲かせている時間は短くて。ぱっと咲いたと思ったらさっと散る。「明日ありと思う心の仇桜」ということわざ*1もあるとおり、世の無常・人生の儚さに例えられる感覚は妙に日本人の心を揺さぶる。

桜の名所は全国各地に存在し、どこも圧巻の美しさだ。福島三春、秋田角館、目黒川、伊豆河津…近年わたしが見た桜はどの桜も甲乙付けがたく思い出深い。

同時に「こんな所にも桜があったんだ」と思うような案外身近で意外なところにも桜があることに気がつく。今日は外出先に行く途中、そんな街の片隅にひっそりと咲く桜を撮ってきた。

「誰も見ていないと思っていてもきっと誰かが見てるから。だから、腐らないで頑張れ!」かつてそんなことを言ってくれた人の言葉を思い出した。派手なパフォーマンスなんていらない。例え目立たなくても。

テレパシーじゃないけれど。真摯に向き合い、どんな環境どんな状況でも自分を信じて過ごすことで、伝わる何かがあると思う。

*1:桜は明日もまだ美しく咲いているだろうと安心していると、その夜中に強い風が吹いて散ってしまうかもしれない。 人生もそれと同じで、明日にはどうなるかわからないから、頼みにしてはいけない、という世の無常を説いた戒め。