すべての男は消耗品である、だから自由だ

本はKindleでまず探すことが日常となった。唐突に割引キャンペーンがあったり、日替わりセールで驚くほど安い値付けになることがあるので見逃せない。

村上龍氏のメルマガ経由で知ったのだが、氏のエッセイ「すべての男は消耗品である。」シリーズがなんとVol.1~Vol.13の30年分をひとまとめにしたパッケージが販売されたようだ。 その価格、1250円。Amazonオーナーズライブラリー*1なら無料という大盤振る舞い。

昔からファンであり全て「本」として購入し、裁断機とスキャナを使って自炊してきたことがなんて無駄だったのだろう、と力が抜けてしまう。というのは半分冗談であり、半分本音なのだが。

エッセイの魅力は旬な話題がテーマとなっていること。そういう意味ではリアルタイムで読んできたことに意味があるかなぁとも思う。

以前にも書いたことがあるかもしれないが、村上龍の小説・エッセイに出会ったのは社会人となって早々に出会った彼女と別れた頃であった。なんの迷いも疑いもなくフルコミットしており、現実的に初めて結婚を意識した関係だった。唐突に突きつけられた「別れ」をなかなか受け入れられず、その後数年はボロボロになった。今にして思えば、未熟で初々しかったとしか言えないが、タバコ吸ったり酒を飲むようになったのもその頃からだ。間違えてほしくないのは、別れを告げた彼女を非難しているわけではない。

うまく例えられないが、崩れてバラバラになった積み木を一つ一つ積み上げるように、自分自身を再構築していった。リプロダクト。当時を思い返すとそんな感覚が今はある。理想ばかりではない世の中、現実を理解し始めた転換点。自分自身にとって強烈な逆境をドライブするにあたって、村上龍氏の著書からは多大なエネルギーをもらった。文章からパワーやエネルギーをもらうということは初めてだった。

村上龍氏が経済・ファイナンスへ卒倒するようになり、引きづられるように自分自身も今では毎朝、米国市場と為替相場を確認することが日課となっている。物事の考え方もファクトベースで考えるようになった。その変化が良いか悪いかの結論はでないが、変化し続けること・適応することが成長なのではないだろうか。シリーズを通して煽ってくる「危機感」その危機感を自身へのエネルギーと転換できるか、それとも不安を募らせるのか。

読む人を選ぶ類の本かもしれないが、自分を変えようと強く思う人には強烈なモチベーションを与えてくれるだろう。

*1:Amazonプライムに加入しており、Kindle端末を所有している人は、ベストセラーやコミックを含む1万冊以上の対象タイトルの中からお好きな本を、一か月に1冊無料で読める。